「で?やっぱ入んなかったの?あいつ、そんなでかそうじゃないけど、不器用そうだもんね。」<br>「そ、それは分かんないですけど!」<br><br>あたしは、顔が爆発しないように両手でほっぺを抑えて、必死で説明した。<br><br>「あたし、すげえ体って太ってること言われたんだと思って、黒崎くんに思い切り頭突きしちゃったんです!」<br>「あら……。」<br>「それで、あたしすごい石頭だから黒崎くんひっくり返っちゃって!だからできなかったんです!」<br>「一護もかっこつかないわねえ。」<br>「……それで、それから何度お泊まり行っても、黒崎くん、さわってくれなくなって。」<br>「そりゃ、男のプライドずたずただもの。」<br><br>ず、ずたずた!あたしが勝手に誤解して頭突いちゃったから、黒崎くんのプライドが、ずたずた!!ああ、あたしってどうしてこうなんだろう。もっと落ち着いて、余裕綽々で、黒崎くんを包み込めるような女性になりたいのに。<br><br>「だから、次はあんたから手を出してあげなさいよ。気にしてないし、好きだって。一護はきっとかっこつかなかった自分が恥ずかしくってうじうじしてるだけだから。」<br>「すけべって思われないかな……。」<br>「思わないわよ。」<br><br>乱菊さんは優しく笑った。すごく余裕があって、ほっとする笑顔。<br><br>「はあ。どうしたら乱菊さんみたいになれるんだろう……。」<br>「ええ?私ぃ?」<br>「乱菊さんって、大人の女って感じで、そういう経験たくさんあって、余裕って感じじゃないですか。」<br><br>あたしがぐだぐだ言うと、乱菊さんはちょっと苦笑いして酎ハイを呷って、別にそういうんじゃないんだけどね、と呟きながらカキピーの袋を開けた。あたしも一つつまむ。<br><br>「恥ずかしい?一護に全部さらすの。」<br>「それは……はずかしいっていうか……。」<br><br>なんかちょっと違う。でも正しい言葉が見つからない。あたしが口ごもると、乱菊さんは、ふうん、と頷いて、そういえばさあ、と軽い調子で尋ねる。<br><br>「あんた下着ってどうしてんの?現世のって可愛いのたくさんあるじゃない。」<br>「一応、一番可愛いのにしてるんですけど……。」<br>「どれどれ。」<br><br>そこからは、もうすっかり乱菊さんのペースだった。引き出しに入ってるあたしの下着を全部引っ張り出して、可愛いけど色気がない!て言って、駅ビルの下着屋さんでなんかすごいやつ(黒地にピンクのレースがついてる前ホックのブラジャーと紐みたいなパンツ)を買わされたりした。その後も乱菊さんの買い物に付き合ったり、ファミレスでご飯を食べたりして楽しかった。
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